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三崚堂ブログ

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テレビショッピング

前回のテレビショッピングの話で思い出した。私が大学院生の頃、巷間でキチン・キトサンブームが起こった。カニ殻に含まれる成分のキトサンを飲むと痩せると言っていた。テレビショッピングの実演では、ビーカーに水と食用油を二層にして入れ、そこにキトサン粉末を加えて掻き混ぜていくと油とキトサンが団子状に固まり水の底に沈殿した。これが胃や腸の中で起こって油はキトサンに絡め取られて吸収されずに排出される。油が吸収されないから太らない=痩せるというわけだ。何とも子供騙しな説である。
そもそも食用油がたっぷりと胃腸の中にある状態などありえない。油をグビグビ飲む人は見たことがないし、きっと美味しくない。腸内では油分があれば乳化されて小さなミセル状になるためキトサンに絡め取られることもまずないだろう。実験(in vitro)と生体反応(in vibo)では様相が異なるわけで、キトサンに痩身効果はない。
さらにキトサンは関節の痛みに効果があるとも言われていた。グルコサミンが関節に良いというところから発展した考えなのだろう。確かにキトサンはグルコサミンが多数連なったものであるが、口から入って下から出て来るまでの間にグルコサミンに分解されることはない。人はキトサンを分解する酵素を持っていないからである。分解されないのだから吸収されることもなく、すべて排出される。入ったものはそのまま出ていくだけであるから関節どころか何処にも効かない。
それではヒアルロン酸のように直接関節に注入出来れば効果があるのか?否、キトサンは水に溶けないのでそれも無理である。
では何故あれほどのブームになったのか。キトサンは専門領域で驚くほどの効果を発揮する。医用材料(手術用の糸、人工皮膚など)に関しては秀逸である。免疫による拒絶反応が驚くほど少ない。その他にもいろいろあるのだが、それらが話題となり注目されることで一見有り得そうに思われる痩身や関節への効果が話題になったのだろう。間違いなく素人の発案だと思うが。
結局何が言いたかったかというと、うまいこと宣伝していてもまったくのデタラメだったりもするので気をつけようということ。自分に言い聞かせるつもりで書いたのだが、私は非常に信じ込みやすい。キトサンなど化学的にあり得ないとハッキリする分野は大丈夫なのだが、目に見えない世界の話には滅法弱い。弱いくせに大好きなので始末が悪い。キチンと気をつけます。
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2007年3月、満を持して治療院を開業しました。

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